2021.08.19:ブログ
スワンクリニック銀座 院長 福澤 見菜子
陰部が切れた時、どうすればよいかかなり焦りますよね。
陰部が切れたときはまず清潔に保つことが最も重要です。
感染を防ぎ、早期の回復を促すためには、適切な衛生管理が欠かせません。
多くの場合、適切なケアを行えば自然治癒が期待できます。
しかし、出血が続く場合や痛みが強い場合、傷が深い場合、また感染の兆候がある場合は、自然治癒を待つのではなく、クリニックを受診することをお勧めします。
今日は、陰部が切れた際や術後の塗り薬について使用してもいいものとあまり良くないものについて解説をしていきます。
なお、スワンクリニックでは基本的に術後2週間塗っていただく軟膏を1本処方しています。
オロナイン軟膏は、陰部の傷には使用を避けるべき軟膏の代表例です。
粘膜組織への使用が推奨されていないことに加え、陰部特有の湿潤環境では、かえって炎症を悪化させる可能性があります。
さらに、デリケートな粘膜部分に対して刺激が強すぎる場合があるため、使用は控えるべきです。
ステロイドは傷の治りを遅くし、感染に対して弱くなるので、術後しばらくは使わないでください。
お薬にステロイドと書いてあればわかりやすいですが、そうでない場合もあります。
成分表にプレドニゾロンや、ヒドロコルチとか書いてあったら、インターネットで検索してみると、それがステロイドかどうかわかります。
術後2〜3週間で、傷がかゆくなることがありますが、これに対してもできれば塗らないでください。
医療機関では、症状に応じた適切な軟膏が処方されます。これらの軟膏は医師による診断に基づいて選択され、安全性が確認されているため、症状に合わせた適切な成分による治療が期待できます。
フェミニーナ軟膏は、男性でも使用可能な市販薬として知られています。かゆみの緩和に効果的ですが、粘膜部分への使用には制限があるため、使用説明書をよく確認する必要があります。
ゲンタシン軟膏は一般的にゲンタマイシンとも呼ばれ、抗生剤と保湿剤の合剤です。
表在性皮膚感染症の治療において古くから使われている、アミノグリコシド系の抗生物質です。
抗生物質とは細菌による感染症を治療する薬のことで、その作用機序によって細菌の発育や増殖を阻止する静菌性抗生物質と、細菌を死滅させる殺菌性抗生物質に大別されます。
ゲンタマイシンは殺菌性抗生物質に含まれ、外傷後、手術後に広く使われている一般的な処方薬です。
陰部の傷に対しては、細菌感染を予防・治療する効果があり、適度な保湿効果により治癒を促進します。
使用する際は、トイレ後やシャワー後に塗布し、かゆみが出た場合は適宜使用が可能です。
ただし、処方された用法・用量を必ず守って使用してください。
次に、ゲンタシン軟膏をお手洗いの回数が多くて使い切ってしまったり、失くしてしまった等で、別のお薬を使っていいか聞かれることがあるので、市販薬でOKなものを説明します。
デリケートゾーン用製品を選ぶ際は、刺激の少ない成分が使用されているか、粘膜への使用が認められているか、またアレルギー成分が含まれていないかを確認することが重要です。
使用する前には必ず説明書をよく読み、可能であればアレルギーテストを行うことをお勧めします。
また、症状が悪化した場合は直ちに使用を中止してください。
一番お勧めしている市販薬はワセリンです。
いろいろな製品がありますが、銘柄はどれでもいいです。
抗生剤は含まれていませんが、特に術後は皮膚を適度に保湿保護してやると傷の治りが順調に進みます。
大体どのドラッグストアでも売っていますし、価格もお手頃です。
デリケートゾーンの塗り薬といえば、フェミニーナ軟膏です。
フェミニーナ軟膏の成分は、麻酔成分、抗ヒスタミン成分、殺菌成分、ビタミンEがメインです。
特に傷の治りを促進するものは入っていませんが、邪魔するものも入っていないので、使っても大丈夫です。
日常的な清潔維持として、こまめな洗浄を心がけ、優しく丁寧に拭き取ることが大切です。
また、通気性の良い素材の下着を選び、サイズが合っているものを使用し、こまめに取り替えることで清潔な状態を保てます。
過度な摩擦を避けるために、きつい衣服は避け、適度な保湿を心がけ、過激な運動後はすぐにシャワーを浴びることをお勧めします。
症状が重い場合は、早めに専門医に相談することが重要です。
軟膏は症状や部位に適したものを選択する必要があり、継続的なケアと予防が再発防止につながります。
なお、本記事の内容はあくまで一般的な情報です。実際の治療については、医師に相談の上で適切な方法を選択してください。
先生によって多少方針は違うかもしれませんが、大きく異なることはないと思います。
術後について詳しく知りたい方は、ぜひ一度スワンクリニックにご来院ください。